敷金の実費精算はガイドラインをベ−スに対処しなくてはならないようだし、敷引き方式は消費者契約法等との関係で慎重に敷引き額を定めなくてはならないし、色々たいへんですね。なんかいい考えはないでしょうか。
賃貸市場がきびしいので敷金をゼロにする物件も出てきている状況ですから、今後はますます借り手市場の色合いが強くなり、入居者権利意識も強くなっていくでしょうから、やはりガイドラインや消費者契約法の精神を守りながら契約実務をやっていかなけれはならないでしょうね。それに敷金返還の争いを安い費用で簡単で行える少額訴訟制度を利用する入居者も増えていますしね。
敷金がゼロというのは極端ですね。家賃の滞納があったらどうするんですか?
確かにそうですね。やはり2ケ月か3ケ月分の敷金は最低必要ですよね。敷金ゼロの物件というのは老朽化してあまり借り手がいない物件に限定しているようですね。ただ、敷金ゼロということでこの時代ですから入居者が決まっているようですよ。このことから、敷金をゼロにするのは極端としても敷金を下げることで空室対策になっているのは事実ですね。それからこんなケ−スもあります。家賃相場の10%から15%上げて、その分を修繕積立金にし、敷金をゼロにしたら空室対策の効果があったという話です。
今は、保証人代行会社が何社もありますので、こうしたサ−ビスをうまく併用することも必要ですよね。
それと退去後のリフォ−ム費用の軽減をいかに図っていくかということも考え情報を集める必要があるでしょう。例えば、水洗いで10年間近くも変えなくてすむというクロスとか、傷つきにくいクロスや部分的に取替えがきくカーペットとか。
うん、なんとなくだが今後の対応策が見える気がしてきましたよ。色々アドバイスをありがとう。
<一口メモ>
消費者契約法(平成13年4月1日施行)
第10条 (消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者を義務の加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」
居住用の賃貸借契約において、借主(個人)は当然消費者にあたり、家主は個人法人を問わず事業者とされ、消費者契約法の対象となります。たとえ契約自由の原則で約定した場合でも、同法の強行法規に抵触する内容であれば、賃借人の利益を一方的に害する不利な約定として無効という判断がなされます。
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