そういえば、このガイドラインが作成され、急速に普及してきたので家主さんや管理業者の中には、ガイドラインをベ−スにしなくてもよい敷金精算方法、いわゆる敷引き精算方法の契約書に変える動きが出ていますね。
その話はききますよね。問題はないのですか?
敷引き精算の方式そのものは問題ないようです。ただケ−スバイケ−スで敷引き額が高すぎれば問題あり、裁判でも無効とされた判決がありました。
高すぎるとはどのくらいのことを言うのでしょうか?
通常は月家賃の何ヶ月分とかの約定が多いようですが、物件の種類や家賃の額、それから実際の入居期間の長さとかで適正額の上限が違ってくると思いますね。
ただ、現在のところ敷引きに関する裁判判例が少ないので何とも言えませんが、争いがあった場合に少しでも有利にもっていくためには契約締結時に敷引き精算がどういった清算方法であるのかを十分説明して、敷引き額についてしっかり合意してもらうことが肝心です。その場合でも、結果的にやむなく移転せざるを得ない事情が発生し中途解約になり、予定期間より早く退去した場合は実際の入居期間に応じて敷引きの適正限度額も変わってくるものと思いますが。
<一口メモ>
取引の態様が似ている福岡県においても県内の元賃貸建物の入居者21名が家主側に総額約700万円の敷金返還を求めた福岡、北九州の両簡裁での集団訴訟で、家主側が賃借人の請求どおり認めたため原告が訴訟を取り下げたり、和解したりしてすでに6件が解決していたことが分かっています。これら和解等での請求額に対する返還率は平均で80%を上回り、入居者側が有利な形で解決されているというのが実態です。(平成15年8月現在)。中には契約書の内容どおり賃借人の負担としたケースもありますが数少ない例だと言えるでしょう。
敷金精算・基礎知識TOPページに戻る